新潟県中越沖地震の発生から2週間弱が経過し、地元の旅館・ホテルでは風評による宿泊キャンセルが広がっている。新潟県旅館組合によると、キャンセル数は約3万4千人に達している模様だ。新潟県の泉田裕彦知事は24日、首相官邸を訪れ、安倍晋三首相に復興基金の創設などを要請。旅館組合では被災者に向けた無料入浴事業を行ったほか、風評被害打破に向けたキャンペーンの実施を検討する。
地震は16日午前10時13分に発生。新潟県中越沖を震源地に、柏崎市、刈羽村などで震度6強を記録した。24日現在で死者11人、重軽傷者1813人。約9千世帯の民家が全・半壊または一部損壊した。
県内の旅館・ホテルは一部を除き、建物に直接の被害はなく、営業も通常通り行っている。ただ、風評による宿泊キャンセルが全県にわたり広がっている。
原子力発電所を抱える刈羽村周辺では、放射能漏れを懸念した海水浴客の宿泊キャンセルが目立っている。新潟県と柏崎市、刈羽村は21日、県原子力発電所周辺環境監視評価会議委員同行のもと、現地での立ち入り調査を行ったが、「放射性物質の放出量はごく微量で全く問題なく、健康への影響もない」と結論付けている。
柏崎観光協会は、県内各地の観光イベントが自粛により中止されている現状を憂慮し、20日、新潟県観光協会あてに「被災地に遠慮せず、予定通り開催していただきたい」とする要請文書を提出した。
新潟県旅館組合(野澤幸司理事長=ホテル小柳)は21、22の両日、新潟県中越沖地震の被災者を対象にした無料入浴支援事業を実施した。「被災された皆さま方の心と身体のリフレッシュと安らぎを提供したい」と、組合加盟の旅館・ホテル約750軒を無料開放した。
組合では「被災地でのライフラインの復旧に相当の時間が必要としており、人道的立場から無料入浴支援事業を実施することとした」と事業の趣旨を説明している。
このほか旅館組合では、風評被害打破に向けたキャンペーンの実施などを今後検討する予定だ。